時と時空の思い9
「あのっ!さんのこと知ってるんですか?」
慌てて駆け寄っていくと、殺生丸様はピタッと立ち止
まる。
急に立ち止まる物だから、こっちも急ブレーキで立ち止まった。もう少しで衝突してしまう所だ。
「・・・・・お前何者だ?」
「何者って・・・ 。の
生まれ変わりらしいけど」
しどろもどろになる。
殺生丸様にあんまりじっと見られると緊張してしまうのだ。
本当、何でこんなに見てくるんだろう。
「そうか」
それだけですか?
「えっと・・・」
「来るか?」
「えっ?」
突然来るかって何処に行くのだろう。
着いて来るかって事なのだろうか。
でも、今私がお世話になっているのは楓おばあちゃん
なわけだし、勝手に何処かに行ってしまったら心配
掛けてしまう。
「えっと・・・」
そう言おうと顔を上げると、切なげな顔で何処かを見
ている殺生丸が目に入る。
「あ・・・・」
どうしよう。
「・・・今、今お世話になっている人に会ってからで
も良いですか?」
こんな事いってちょっとそこまで感覚で言われたのな
ら赤面確実だ。
勘違いもいいとこだ。
「ああわかった」
「あの、それで何処に行くんですか?」
「付いて来るのかと言う事だ。」
「何日も?」
無言で頷かれた。
「お前が来たくなくなるまでの事」
わかりました。そう言って私は駆け出した。
「直ぐ戻ってきます!!!」
「・・・・あの時もそう言って」
何か呟いていたけれど、私には何を言っているか聞こ
えては来なかった。
