時と時空の思い07






「どれ、腹の傷をお見せ、薬草をぬって上げよう」


楓おばあちゃんは深刻な顔をして話始めた。


「しかし困った事になった。四魂の玉が再びこの世に
出てしまった以上・・・それを狙う悪しき妖怪達が狙
って来るだろう」


「あの妖怪みたいにな」





「ううん。人間もだよ・・・」


私は思わず口に出していた。
不信がられないだろうか・・・。



「そうじゃ・・・の言う通り、戦乱のこの世
に四魂の玉があれば、どの様な野望も達成できようか
らな」

普通のスルーされた。
それもそれで寂しいけれど。




「へぇ」

感心した様に頷くかごめちゃんだが、ふと、犬夜叉に
顔を向けた。



「あんた、何で四魂の玉が欲しいの?強いし、こんな
玉の力が無くったっていい・・・」


犬夜叉はごろんと床に寝転がって完全無視だ。

まったく大人げの無い500以上の年なのに・・・。


「こやつは半妖ゆえ」


しかも、楓おばあちゃんがそう言ったとたん、床に拳
で穴をぶち破って起き上がった。




うわぁ。




こっちまで木屑が飛んできた。


「ばばぁ!さっきっからオレを知ってんのかよ!」


ちなみに、またも私は隅の方に座っております。

何だか寂しい今日この頃、私の前でストーリーはどん
どん進んで行く。








「分からんかね?無理も無いが・・・。おぬしを封印
した桔梗の妹楓だよ」

「楓・・・?」


犬夜叉は不思議そうに首を傾げる。



「あれから50年わしも年を取ったからね」



「へぇ、あのガキがねぇ。桔梗の奴も
すっかりはばぁか」



興味なさそうに言ってはいるが、隠しきれていないな
ぁ。私から見ればバレバレだ。



「桔梗ねえ様は死んだよ、おぬしを封印してすぐに。
様もその後色々あったらしくてね、死んでし
まったらしい」




それを聞いて犬夜叉の顔が一瞬変わった。


「そうか、くたばりやがったかあのアマ。けっ!そり
ゃ清々したぜ。友達同士仲良く逝っちまったって事
かよ」



漫画を読んで知っているからだろうか、私には何だか
犬夜叉が泣きそうに見えた。


言ったら殴られそうだけど。


「安心するにはまだ早いぞ犬夜叉。この2人は、桔梗お
ねえ様と様の生まれ変わりじゃ」

そうだっ!!


今まで慌しくて忘れていたけど、って誰なの
だろう。
まったく訳が分からない。


「楓おばあちゃん。その・・・って?」



「そうよ!私だって気になる」


かごめちゃんも身を乗りだして楓おばあちゃんに詰め
寄った。


そうか、私はかごめちゃんの事とか知ってるけれど、
今の私のに対する疑問と同じ事を、かごめちゃん
だって感じているのだろう。
まだ、この世界についての知識がある私の方がましか
も知れない。


「そうじゃな・・・。2人共不思議な力がある事は何
より、顔が・・・そっくりじゃ」


楓おばあちゃんの声を、どこか遠くで聞きながら考え
た。



かごめちゃん達は絶対無事なのだが、私の事は分から
ない。
もちろん、かごめちゃん達だって自分の事は知らない
のだから、不安は同じだけど・・・。


斜め前の席では、かごめちゃんも俯いて何か考え込ん
で居るようだった。



本当、私はどうなるのだろう。





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