時と時空の思い16
ガクリとその場に膝を着いた私は、素早く殺生丸様を振
り返った。
「なぜ人間の小娘が……」
少し向こうで、邪見が驚きの声を上げている。
あ〜あ……。
殺生丸様がかごめちゃんに興味を持ってしまったではな
いか!
多分今私が話しかけても無視する気がする。
そんなの嫌すぎた。
子供っぽい嫉妬と言われても、嫌な物は嫌なのだ!
あっ!
そんな事考えているうちに、犬夜叉の攻撃を無視する
様にかわした殺生丸様がかごめちゃんに詰寄った。
「きさま……」
一直線に、殺生丸様の視線がかごめちゃんに向いている。
「もはや犬夜叉さまは眼中にないようで……命拾いしま
したな」
冥加じぃが喜んで、犬夜叉に笑いかけている。
小さくてよく見えないけど。
「どあほう!」
確かに……犬夜叉良く言った!!
「……っ!」
こんな観察してる場合じゃ無かった。
近い〜〜〜〜〜!
近いよそれ!!
近すぎる〜。
隣では犬夜叉を馬鹿にして、邪見が何か言ってるが、も
うそれも耳に入らない。
むしろ今は如何でも良い。
「きさま何者だ。なぜ鉄砕牙が抜けた……?」
「うわぁ〜ん」
大声を上げたら、一斉にみんなが振り返る。
「……」
おおっ無視しなかった!
感謝感激!!今なら大声で愛すら叫べそうだ。
「待って居ろと言っただろう?」
うっ
鋭い目で、咎める様に睨んでくる目にドギマギする。
「だって……」
「だっても何も無い」
「うっ……でも……」
「其処で待っていろ」
そう言うと、今度こそ殺生丸様はかごめちゃんに向き直
った。
と、隣にやって来る邪見。
「ふんっ!大人しくしておれ」
「いぃ〜っ」
何だかムカついたから威嚇してやった。
「なっ!」
「私は動きたいときには動くんです!」
そうだ、大人しくなんてしてやるものか。
