降り立った其処は殺生丸様と犬夜叉の父上のお墓。

少し後ろから付いて行っていたけれど……。






時と時空の思い15







殺生丸様が鉄砕牙弾かれた手を見て慌てて駆け寄った。

うむむむむ



確か人間には抜けるんだっけ此れ。

鉄砕牙を睨みつけ、考える。

抜く?
抜かない?

此処で抜けば何だか嫉妬したくなるかもしれない、かご
めちゃんに殺生丸様興味持っちゃった事件は起こらない。

うむむむむ。

でも、そんな嫉妬するほどの事でも無かった様な……。



でも

しかし




うむむむむ






そんな事を1人頭の中で考えているうちに、頭上の空間
から犬夜叉達が飛び降りて来た。


「殺生丸!」


犬夜叉の声が辺りに響く。


その瞬間体がフワリと浮き上がり、視界が動いた。そう
思った一瞬、地面がいっきに遠くなって行くのが分かった。

後ろから誰かに抱き上げられている。



「なぁっ――……」




あっと言う間に隅の方にたどり着いた。

確りと抱き寄せられたまま後ろを振り返れば……想像し
ていたとおりのその人の姿に顔が綻んだ。



「此処に居ろ……今度動けば―……」


ギロリと睨まれ、思わず首を竦めるけど一言!


ゴクリと唾を飲み口を開く。



「あーえっと……かごめちゃんが動いたら私も……何て
思ったりして」


エヘ



この場に合わない笑顔付きで。
空気が重くてついついオチャラケてしまった。








そんな雰囲気を完全無視で一言凄まれる。


「でも、殺生丸様に何かあったら駆け寄る自信がある!」


なおも言い募れば、少しの沈黙の後大きく溜め息を吐か
れた。



「動くな」

呆れた様な雰囲気を声に滲ませつつ、それでも再びの否
定の言葉を口にする殺生丸様。




駄目だ。

此処で何を言っても駄目な気がする。





「うぅ」


言葉にはせず、頷く事で返事をすると、念を押す様に言
い残すと、素早い動きで鉄砕牙の方へと飛び去ってしま
った。


あっと言う間だ。



「ふっ……約束はしてないんだから!!」




負け犬の遠吠え?



言ってくれるなオッカサン!!


戦略と言ってくれたまえ。








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