時と時空の思い14.2






!? 何で此処に!」


「あ〜…えっと、光に巻き込まれて……」


もごもごと口ごもる。
私らしくも無いが、はっきり言えないのだ。

だって!!
見学してて巻き込まれた。なんてそんな事言ったら大顰
蹙物である。



どう言えば良いのか、無い頭を急速に回転させて考えて
いると、なにやらかごめちゃん達の様子がおかしい。

ピッタリと固まり。


確りと開かれた目。


心なしか顔が青白くなっている気がする。


それに何でかごめちゃん達はこっちを見て大口を開けて
るのだろうか?



しかも、視線の先は妙に私を通り過ぎている様な気がし
てならない。





「……」





ギギギギギギ
首がまるで音をたてるように、ガチガチになって後を振
りかえれば…。



其処に……。





、如何して飛び出してきた?」





無表情にたたずむ殺生丸様が居られました。







「うぅ…だって、何も踏み潰さなくとも……」


ピクリと殺生丸様の眉が釣りあがる。



「良いんじゃないかと」


約束をしていたのに飛び出してしまい、はっきり言えな
いが、間違っているとは思えない。



はぁ……



後から大きな溜め息が聞こえた。

面倒くさいとでも思われているのだろうか、無理やり連
れて来いと言った挙句に此れである。

呆れられてね仕方ない。
観念して正面を向こうと足を持ちあげた瞬間。



「まぁ、最初からこうなる気はしていたが」



「へっ?」




体が浮遊感に襲われる。

慌てて近くの物にしがみ付く。




浮遊感が終わり、ゆっくりと顔を上げると……。



殺生丸様の腕の中にしっかりと抱えられ、自分の手に握
られている物が、あのふわふわの毛皮だと気がついた。


顔の前にふわふわしている其れを押しのけて、殺生丸様
を見上げる。

何事かと口を開こうとした瞬間。


殺生丸様が、其の答えになる発言を口にした。




「まあ良い、このまま連れ行く」


いつの間にか、人頭杖を持った邪見が隣に現れ。


「殺生丸様、人頭杖取り戻しましてございます」


「今度なくしたら殺すぞ」

殺生丸様はしれっと怖い発言をし、黒真珠を顔の前に持
上げ笑みを浮かべる。


「ふっ、この時を待ちわびたぞ……」




人頭上を私を抱えた反対の手で受け取る。

と、其れを真上に持ち上げ、勢い良く黒真珠に突き下ろ
した。








人頭上が不気味な笑い声を上げる。


邪見が何か叫んだかと思うと、辺りは黒い光の渦に包み込
まれた。


殺生丸様の笑う声を耳にしたかと思うと、私は、殺生丸様
と一緒に空の上に投げ出されていた。





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