時と時空の思い13.






ああ何て素敵な空。




私は軽く現実逃避しながら、牛車の中から見える夜空を
見上げていた。


安全な場所に居るとは言ったけれど、この中に待たされ
てもう数時間はたっている。
この中には特に楽しい物も無く、暇を持て余していた。
ただ、この中に浮いている牛車から見える景色は、かな
り美しかったけれど。




「はぁ・・・これ以上待つ事になったら確実に寝ちゃうよ」


でも眠い物は眠いのだ。



大きな口を開けて欠伸を1つ零すと、再び満月の浮かぶ
夜空を見上げた。






++++




されから数分も経って無いだろうか?


眠けはピーク。


何度も、目元を擦っては頬を叩くを繰り返していた顔は
心なしか赤くなってきている。



もう駄目だ!脱そう、もしくは牛車を勝手に動かすか
してどにかアクションを起こさないと寝る!!



そんな事を考え始めた時だった。



私の眼前を、カラカラと音をたてて進む牛車が通り過ぎ
て行く。

「・・・・・・」







「あぁぁぁぁ! あれって絶対あれだよ!!」



叫び声と共に立ち上がり牛車がグラっと揺れ、慌てて
壁に手を突き、牛車の中から顔を覗かせた。



ああ、眠気なんか一気に吹っ飛んだ!!




顔を覗かせた先の方には、豆粒の様に白髪と自転車を押
す少女の影が見えた。

その頭上には先ほどの牛車。




もう直ぐだ!



この後直ぐに殺生丸様が登場するはずだ!!



落ちないように気をつけながら、そっと身を乗り出す。



バキバキバキ

「・・・・・・!!」





雲の間から現れた大きな手が、犬夜叉達の前の牛車を
握りつぶし、中に居た犬夜叉の母をつかみ出した。




そして現れる鬼の姿。
その手に握られた犬夜叉の母。


そしてその腕の上には。




お美しい殺生丸様の登場だ。

大騒ぎしそうになる自分を抑えると、ブンブンと殺生丸
様の方に手を振る。



気がついたかは分からないけれど。

気分的に嬉しいのだから良しとしよう。
ニッコリと笑顔を作ると、取り合えず邪見にも手を振り
犬夜叉達の方へと目を向けた。







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+++きまぐれなあとがき+++

みっ短い;

犬夜叉夢は結構長めに(自分的には)書いていたのに。

今回は短め。