時と時空の思い13
この屋敷でいまだ数時間ではあるけれど、1人でこの
拾い場所に取り残されれば不安も募るという物だ。
まだあの船でやって来てから一夜も経っていないのに、
何か準備が有ると言って2人とも出かけてしまったのだ。
「ふぅ・・・でもこの後の事件に着いて行ったら・・・」
かごめちゃんと犬夜叉との再開が待っているのだろう。
会ったらどんな反応が返ってくるのか、きっとかごめち
ゃんは心配していたと思う。
そう考えると、殺生丸様に無理を言っても着いていくべ
きだろうか?
そんな事を考えつつ、部屋の真ん中の畳の上に大の字
で横になる。
ボーっと天井を眺めていると、瞼がゆっくりと閉じよう
と重くなっていくとが分かった。
起きてなくちゃとも思っているのに、ゆっくりと眠る態
勢になり、気がつけばぴったりと瞼は閉じられ・・・。
気がつけば眠ってしまっていたらしい。
飛び起きれば、丁度殺生丸様が部屋の襖を開きやって来
たところだった。
「寝ていたのか?」
第一声が此れ。
しかし何で寝ていたのがばれたんだろう。
別に寝たのはいけない事では無いけれど。
「うん・・・。いつの間にか寝てたみたいで」
「・・・寝るなら何か掛ける位するんだな」
「へっ!? 何?」
何かが投げられるのを慌てて受け取ると、薄い生地で出
来た羽織?の様な物で、ビックリして殺生丸様の顔をマ
ジマジと見上げてしまう。
「使え、要らないのなら捨てて置け」
「えっ!! 要る!絶対要るよ!!」
そう叫んで立ち上がると、そうかとだけ返事をして殺生
丸様は部屋を出て行こうとする。
「」
ひきとめる為に口を開こうとあける寸前。
殺生丸様が振り返って私を凝視してきた。
「何?」
「私は暫く留守にするが・・・」
「えっ!私も行きたい」
全部言い終える前に慌てて遮った。
この展開の後行く場所。
それは犬夜叉の所に違いない!ここで着いて行かねば
犬夜叉一行との接触はまた随分先になってしまう。
それに・・・。
この後殺生丸様の腕が。
今になって思い出したのだが、この後、犬夜叉との戦い
で大怪我(私から見たら物凄い大怪我だ)を負うのだ。
その場に居ないなんて考えられなかった。
「絶対行きたい」
再び殺生丸様が口を開く前に、畳み掛けるようにもう一
度念を押す。
暫く目を見つめていると、呆れたように溜め息をつかれ、
仕方ない、そう短い了承の返事を得る事ができた。
「だが・・・」
此れだけは譲れないと前置きをされる。
「は安全な場所に要る事が条件だ。始めから
危険に巻き込まれるような位置には連れて行かない」
「わかった。わざわざそう言う場所に居たりしない」
「・・・では行くぞ」
そう言うと、今度こそ襖の向こうへと去ってしまう。
そのため、表情は良くわからなかった。
まあ、正面から見えていても、ポーカーフェイスで表情
などあまり変わらないけれど。
慌てて羽織を肩から掛けて着込むと、暖かさにほんわり
しつつ、殺生丸様の後を追いかけて行く。
これならスピードが出る移動方法でも寒く無い、そんな
事を考えていた。