時と時空の思い12






殺生丸様と行動するようになって数日。


邪見の態度は相変わらず、でも結構仲良くやっている。
殺生丸様とはあんまり話はしないけど、話しかければ
返事はしてくれるし、何と言っても美しいお顔を側で
見ていられるのはかなり嬉しい。



そんな幸せに浸りつつ、邪見と話していてふと気が付い
た。




ザワザワと騒ぐ武将達に大将、そこへ向かう殺生丸様と
邪見・・・・・・。





この場面とこかで見た気が・・・・・・。




++++




「どけ」



いやいやいやいやいやいや

この場面絶対に見た。と言うか正直見たくなかったです
よ此れは・・・。

ブチっと猪をちぎってお肉を食べていたらしい陣営の
大将は今や無残な姿で地面の上で転がっていた。


青くなって血の気の下がった頭をなんとか働かせ、思い
出したのはこの後のもっと酷い武将達の姿だった。
流石にあれは見たくない、本気で嫌だ。



「なんじゃきさまっ!」


武将の叫び声。

「きさまらじゃまだ。この場をされ」


「邪見。人頭杖を・・・」


殺生丸様がそう言えば、邪険は畏まって陣の真ん中の
方へと向かい人頭杖をその場へと突きつけた。



キィィィィィィィィ



ちょ、何この声!予想以上の超音波的音が鼓膜を揺さぶ
ってくる。
その音に慌てて耳を塞ぎ、殺生丸様の方へと近づいた。



もう、直ぐだ。


「女の顔が泣きましてございます。ここはお探しの墓で
はございませんな」


「そうか・・・」


ヒョイヒョイと、身軽にかこっちへと帰ってくる邪見に
目をやっていると、後からだみ声が怯えたような叫び
声が。




「き、貴様ら人間ではないなっ」

ちなみに私は人間です。

そんな私を前に歩かせながら、殺生丸様がその声の主を
振り返った。


「うん?」


グファ。鼻血が出そうです殺生丸様っ!
何なんですその悩殺的なお顔っ!!!


ってそうな事言ってる場合じゃなかった!



「何だ人間ども、まだいたのか」


「も、物の怪っ」


だから私は人間だけどね。


「退治してくれるっ」

「取り囲めーーっ!」


とっ止めないと!!
あれ絶対に見たくないしっ!!


「うっとうしい」


わーわーわー!!!



「ストォォォォォオオオオオップ」


あーあ飛び出しちゃった、どうすりゃ良いんだこの後。
突然の奇行に一時停止した武将のみなさんありがとう。

でも、それも一瞬、またもの凄い叫びを上げてこっち
へと突っ込んできた。



「あの女も妖怪に違いない!!」


えっ!!?
如何見てもか弱いでしょ?おじさん達よ。



「そうだぁ!!捕まえて人質にしろぉ!!!」


んな、何ですかそれ!!!


「ちょっ、えっ!!!!!」





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