時と時空の思い11






「なぁっ・・・・・・・」



叫びながらやって来た邪見が、こっちを見て大きく口
を開けて固まっている。





様?」


まるで幽霊でも見た様な反応だ。




「邪見・・・」


それに対しても殺生丸様は至って冷静で、私を邪見の
方へと押し出す。





だ」



「・・・・です」


まじまじ見ないで欲しい。








物凄く恥ずかしい!!!!!





「しかしどう見てもっグファ!!!」



あっ、転がってく・・・・・・。



「騒ぐな邪見」



おもいっきり弾かれた邪見は、脇の木にぶつかってひ
っくり返ってしまった。


かなり痛そうだ。


「大丈夫ですか!!!」

殺生丸様の脇を通り抜け。

立ち止まったら引き止められそうな気がする。

まあ、本当に止めようと思ってたら簡単に引き止めら
れるとは思うけど。



慌てて駆け寄って抱き起こすと、邪見はすぐに自分
で立ち上がり、あの杖に寄りかかった。



「・・・ぅぅ殺生丸様」


目がうるうるしていてちょっと可愛いかもしれない。

けど持ってる杖があんまり可愛くない。
私の方に杖を近づけるのはやめて欲しい。




「・・・しかし近くで見れば見るほど様にそ
っくりではないか!」

キレられても困る。

「何かね、私さんの生まれ変わりらしいんだ」

落ち着かせるようにはっきり言うと又固まる邪見。





でも、それも一瞬また大声で叫びだした。





「はぁ・・・・」




目を大きくして叫んでいる邪見を見ていると、ふっと
後ろに気配を感じた。
視界に影がかかる。

慌てて見上げた先には、やっぱりあの綺麗な顔があって、私達を無表情に見下ろしていた。










「へぶぅ」


ぼうっと見上げていると後から邪見の声が聞こえてき
た。


斜め後を振り向いてみると・・・・・・。


地面に突っ伏した邪見が転がっていた。



まるで漫画みたいだ。






「・・・・・・・・・・・・」










「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」




どうやら殺生丸様の足蹴りをくらったようだ。
私には全然見えなかったけど・・・。


「・・・・・・・・・・いくぞ」


「・・・・・」

殺生丸様は邪見をひょいっと摘み上げると、私も抱え
上げ、無言で歩き出した。





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